一部の大企業、大富豪が富を独占しています。
他人と比べて、お金やモノがたくさんあるから幸せ。 お金を出して買ったモノは、どう扱おうと勝手でしょ。 ウチの土地の自然や資源は、自分のモノ…
こうやって、大企業が一般市民、弱い国、自然から時間やモノを奪い取っているからです。
2020年代の日本では、気候変動で地球に人間が住めなくなるかも、という実感がわきません。マスコミが本気で報道しないのも原因の一つ。彼らも広告料で会社を維持していますから。大々的に報道できないのだろうな、と思います。
だからといって、何もしなかったら大変なことになります。
「車は急に止まれない」ように、「気候変動は急に止まれない」のです。
では、どういう社会を目指したらよいのでしょう。この本を読んで考えました。
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著

著者オリ・ブラフマン は組織論が専門の起業家です。
スタンフォード大学ビジネススクールでMBAを取得。専門は組織論。イノベーションや組織マネジメントについて、フォーチュン500企業でコンサルティングや講演を行い、アメリカ軍の意思決定に“カオス”を導入する研修プログラムを手がける。
HMVオンラインショップ 著者紹介より 2021/10/27引用
ロッド・A・ベックストロームもバリバリの経営者です。
次々に事業を興してきた起業家。CATSソフトウェアを起業して上場させたほか、ハイテク企業数社を創業し、成功をおさめてきた。様々な民間企業や非営利団体の役員を務める。スタンフォード大学で学士号とMBAを取得し、フルブライト奨学生でもあった。
HMVオンラインショップ 著者紹介より 2021/10/27引用
結構厚い帯がついていて、そこに本書の説明があります。
繰り返されるヒトデとクモの戦いに最強の組織を作るヒントがある!
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著(2007)日経BP社 帯より
ヒトデ型組織 クモ型組織
〈ナップスター〉 VS 〈MGM、ソニー〉
〈 スカイプ 〉 VS 〈 AT&T等 〉
〈 アパッチ 〉 VS 〈マイクロソフト〉
〈 アパッチ族 〉 VS 〈 スペイン軍 〉
〈 アルカイダ 〉 VS 〈 アメリカ 〉
クモは頭を刺せば死んでしまいますが、ヒトデというのは半分に切ると、2つに増えるのだそうです。
大体の企業は「クモ型」
現在の企業はクモ型です。頭が手足を統率するのですが、ムリクリ抑え込むのでヤル気が低い。お金のために働く。給料は我慢料。各種ハラスメントの温床です。
「ヒトデ型」とは?
ヒトデ型企業はちがいます。著者から見た、1980年代のトヨタ自動車は
ここでちょっと、自分がトヨタのトップだったらと想像してみよう。作業員からの提案をどのぐらい取り入れるだろうか。提案のほとんどは、ねらいは悪くないが役に立たないたぐいのものだろうから、15パーセントぐらいか。半分は何らかの役に立つという可能性に賭けて、50%パーセント?実際には、なんと100パーセントだ。
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著(2007)日経BP社 p203
トヨタにとって組立作業員は、命令しなければ仕事をしなかったり、他の作業員とうまくやっていけないような怠け者ではなく、会社の重要な財産だった。このような環境で、作業員がどれだけやる気を出せるか、想像してほしい。自分の意見が尊重されるのだ。トヨタの革新はそれだけでなく、経営のヒエラルキーをフラットにして、賃金水準も均一にした。みんな平等になったのだ。こうした革新の成果は、トヨタの車がGM車よりずっと高品質であることに現れている。
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著(2007)日経BP社 p204
2020年代のトヨタがこの通りかどうか、私にはわかりません。けれども、こういう組織があったら、とても魅力的だと思います。
この本の中で、P・F・ドラッカーのことがちょっとだけ出てきます。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら (新潮文庫) [ 岩崎 夏海 ]
このドラッカーです ※本とココの内容は全く関係ありません。
後にドラッカーはこう回想する。「(私は・・・また)コミュニケーションが機能するためには、下から上に向かわなければならないことを教えた。(・・・)そしてトップ・マネジメントとは一つの機能であり、一つの責務であって、地位や特権ではないことを教えた」。
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著(2007)日経BP社 p202
こういう、
- お金ではなく、信頼関係でつながる。
- 上からの命令ではなく、自分で判断して行動する。
- 決まりがあるからではなく、最善を自分で判断する。
- 型にはまった組織ではなく、形式にとらわれないつながりを持つ。
- 肩書を地位や特権ととらえず、一つの仕事ととらえる。
つまり、「分権」「分散」「平等」な組織を「ヒトデ型」と表現しているのです。
ヒトデ型だと何が起こるか
クモ型組織だと、上司の指示に絶対服従です。仕事は同じことの繰り返しです。おまけに資本主義はコスト削減が最重要です。
化学肥料会社が「環境に負荷がかかるから作るのをやめよう」とは簡単に言えないし、プラスチック会社が「石油を使わない素材を発明できないから廃業しよう」とは簡単に言えないのです。
しかし、ヒトデ型組織は違います。
間違いを認めたら、あっさり方向転換します。なぜなら、各自が決定権を持つからです。
その代わり、お給料は保証されていません。良い条件に当たった人が、そうじゃない人を助けます。お互い平等な関係です。だから、他人と比べて多い、エライという考え方がありません。
大規模な組織も、作るのには1980年代のトヨタのように工夫が必要です。なぜなら、
参加は簡単だし、多彩なメンバーが加われる利点がある一方で、一つのサークルに14人とか、それ以上の人数が加わると、互いの結びつきが弱くなる。メンバーたちは誰が誰だか分からなくなり、参加はしてもグループに貢献はしない者や、破壊的な行動をする者が出やすくなる。役割を果たす必要がなくなるからだ。
ヒトデはクモよりなぜ強い オリ・ブラフマン ロッド・A・ベックストローム 著(2007)日経BP社 p95
これは「アルコホーリクス・アノニマス(AA)」という組織に関しての記述です。企業でも大人数だとまとまりがなくなります。
つまり、社会がヒトデ型になると、少人数でお互いの利益になることを行う、自主・自律組織があちこちで自然発生するのです。
これをまとめた文章が、『人新世の「資本論」』にありました。
現在のような消費主義とは手を切って、人々の繁栄にとって、より必要なものの生産へと切り替え、同時に、自己抑制していく。これが「人新世」において必要なコミュニズムなのだ。
人新世の「資本論」 斎藤幸平 集英社新書 p302

これからの社会を生き残る方法は
人も会社も変化に対応できる小規模経営が生き残る時代になります。大企業は安心ですが、人として生き生きと暮らせるか、大いに疑問です。組織の在り方が「ヒトデ型」かどうか見極めが必要です。
日々トライ&エラーを実践し、良い反応があるものだけを残します。
- 間違いをすぐ認める。
- 素直に反省する。
- どうしたら良いか考える。
- できるだけ早く実行する。
環境に悪い、持続不可能、生きていけない、と分かったら即方向転換。これこそが、生き残る人、社会です。
・・・あなたの会社、こんな所ですか?もしそうじゃないなら、生き残れないかもしれません。
今は自分で会社を値踏みして、生きる道を探す時代です。自分を磨き、どこに行っても何をしても、生きていける技術を身につけましょう。
ドラッカーもそう言っています。流れを正確に読んで、搾取されない人生を送りませんか?
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