「だしを取るのは面倒」
そう思いますよね。熱湯に両手いっぱいのかつお節を放り込み、さらしでこすのは面倒です。けれども、そもそも、かつお節じゃなくても、良いだしは取れます。
「だし」とは何でしょう。
まずはそこから考えてみませんか?そうしたら、もっと手軽に、安く、美味しい料理を作れるようになりますよ。
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自宅で手作り
自宅にあるモノでだしは取れます。企業はそんなことは言いませんよ。けれども、自宅でおいしいだしが、カンタンに取れてしまうのです。
そのために、「だしに使われる乾物」の特徴を把握しておきましょう。
自宅のだしのモト
かつお節:高いから使わない
かつお節のだしはとてもおいしいですよね。ただ、私は使いません。それは……
- 高価だから
- だし殻がもったいないから
1.高価:煮干しと昆布でおいしいだしが取れます。それに比べると、かつお節は高価だからです。
2.だし殻:猫がいればエサにするのでしょうが……。ふりかけを作りましたが、だし殻は毎日出ます。使うのが追いつきません。だからといって、捨てるのはもったいなくて。それで、かつお節を使わなくなったのです。
煮干し:良いだしが出る
煮干しでよいだしが出るので、粉末にして使っています。
ただ、大切なことがあります。新鮮な煮干しを買って、冷凍保存しましょう。これだけ守れば、毎日おいしいだしを楽しむことができます。
市販されている煮干しも同じ。常温保存されているのは避けた方がよいです。魚の油や内臓が酸化して、まずくなっているからです。こういう煮干しからは、美味しいだしが取れません。冷凍販売されている煮干しを購入するのがベストです。
昆布:粉末にすれば扱いやすい
前日から水につけ、沸騰する前に取り出す……をしたくないので、粉末にして利用しています。
沸騰させなければ、ねばりは出ません。
干しシイタケ:絶妙なうま味が加わる
干しシイタケを加えると、食べ物に何とも表現できない味わいが加わります。煮物には必須。正月に欠かせないのが分かります。
みそ汁に加える時は、粉末が便利です。
私は、煮干しを自分で粉末にして、粉末昆布と干しシイタケ粉と混ぜて使っています。
これは、昆布も自分で粉にしていた時のモノ。今は粉末昆布を買っています。
このだし粉末は、具が柔らかくなって、火を止めてから入れます。味は冷める時にしみますから、材料にもうま味が入ります。だしを入れて煮込むと、せっかくの風味が飛び、昆布の粘り気が出ますから、注意してください。
ラーメンスープも手作り
ラーメンスープも手作りできます。
「これを入れればこんな味」を把握すれば、完全オリジナル「うちの味」も作れてしまいます。
野菜は だしのモト
新鮮な野菜には、だしにになるうま味がたくさん入っています。
だから、豚汁など、野菜をたくさん入れる汁物に「だし」は不要。煮物も同じで、色んな根菜を入れる煮物は、だしを入れなくてもおいしくできます。
料亭でだしを使うのは、一品ずつ煮込むから。
だしを使う意味を深く考えると、無駄な塩分も控えられます。
では、こんなにカンタンにできてしまう「だし」を使わず、「うま味調味料」を加えるのはなぜなのでしょうか。
食べ物の成り立ちから振り返ると、理由が分かります。
そもそも、食べ物には「だし」が含まれる
そもそも、人間が食べるモノには「味」があります。「まずいモノ」「無味乾燥」でも、煮たり、発酵したり……。先人の試行錯誤で、味が出るように工夫されています。
生きるために色んなものを食べて、中でもおいしいモノを選択。その味をはぐくみ、生き延びたのが、現代の人間です。伝統食には豊かな風味があり、私たちには、伝統的な味を「おいしい」と感じるDNAが残っているのです。
いろんな味がある中でも、だれもが「これはおいしい」と感じる味があります。この味を使えば、色んなものがおいしく仕上がる「便利な味」。それが「だし」の正体です。
味は「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」に分けられます。これらを組み合わせ、相乗効果を狙うのですが、うま味はどれとも相性が良いのです。
そして、人間は「おいしいと思うモノ」を食べて進化してきたのですから、伝統食に「うま味」がたくさん含まれているのは当然です。
乾燥したモノが選ばれる理由
だしに乾物が多いのは、「保存できる」のが一番の理由だと思います。
昔々、豊作豊漁で大量に食べ物が得られた時、腐らせないようにいろんな工夫がされました。塩漬け、燻製……色々ありますよね。特に、この二つが「うま味」をたくさん含んでいました。その方法がコチラです。
- 乾燥させる方法
- 発酵させる方法
乾燥させる方法
微生物に食べられないように、水分を飛ばす方法です。水で戻せば食べられます。さらにおいしくなる場合も!
その乾かし方が発展して、かつお節などが生まれたのだと思います。
発酵させる方法
人間にとって都合の良い菌に食べ続けてもらう方法です。みそ、しょう油、酒もこの方法で作られています。
菌も人間同様、環境に合わせて進化しています。その土地ならではの発酵食品があるのはそのためです。いろんな人が発酵食品を作ってきたでしょうね。その中でも、特に美味しいモノだけが、現代に伝わったのだと思います。
科学技術で「カンタン便利」が登場
ただ、乾燥させるのも、発酵させるのも、経験が必要で、手間がかかります。乾物は、調理するとき水で戻す必要が……。これが手間になる事もあります。
そこで近年、科学技術を使ってうま味成分を特定。それだけを集めた商品「うま味調味料」が登場、活躍しているのです。
「カンタン便利」で大丈夫?
けれどもここで、「うま味調味料」「だし」をゼロベースで考え直してみませんか?
うま味調味料は大量生産。巨大な工場は、自然を破壊して作られています。遠くから船を使って原材料を運びます。地下資源を使い、工場を建設。大量に作って、世界中に出荷。これにも、どれだけ石油を使うでしょう……
「大量生産」「大量消費」は、おカネのことだけを考えれば効率的です。しかし、環境はお金では買えません。空気や水を汚し、環境から搾取して……。地球に住めなくなるかもしれない現在、頼ってはいけない手段なのです。
そして、そもそも、私たちの食べ物には「うま味」が含まれています。わざわざ大工場で化学合成した調味料を使う必要はないのです!
「当たり前」を疑うと、身も心も財布も楽になる
「カンタン便利」「ボタン1つで」が当たり前になってしまうと、今までしてきたことが出来なくなります。
たとえば、どこの家庭でも
- ご飯は鍋で炊いていた
- 魚をさばいていた
- 服は手作りしていた
今、これができる人は少ないのではないでしょうか。忘れただけなら思い出すかもしれません。しかし、これが次世代になったら……茶碗洗いすら機械の時代。機械なしには、何もできないかもしれません。
そうなると、大企業の出番です。ボタン1つで自宅まで生活必需品を宅配してくれます。結果、私たちはますます「生きる方法」を忘れてしまうのです。
では、こうなったらどうしますか?
- 石油が高騰したら?
- 天候不順で衣類、農産物が輸入できなくなったら?
- 大企業が商品を値上げしたら?
石油がなくなったら大変です。宅配便もストップしますが、浄水場なども動きません。発電所が動かなくなるからです。
世界的に気候変動が進むと、自国をまかなうのが精一杯になり、日本に輸出してくれる国が無くなるかもしれません。
または、粗悪な食料しか輸入できなくなるかもしれませんよ。なぜなら現に、日本は残留農薬の規制値が緩くて有名。
世界中の薬漬けの食べ物が、日本に輸出されているからです。日本の企業は、安ければ買ってくれます。そして、「安さが一番」の消費者が、それを買い支えています。
世界規模のグローバル企業が商品値上げをします。日本人には売れなくても、ほかの先進国では問題なく売れたら?日本で売らなければよいだけの話。すでに日本は色んな食べ物を買い負けています。
……巨大企業に頼り切った生活をすると、生き方まで巨大企業に乗っ取られてしまうのです。そうなる前に、普段の生活から、できるだけ自力で確保できる癖付けが必要です。
そして、いつも生活を「ゼロベース」で見直してみませんか?すると、できないと思い込んでいたことが出来たり、必要と思っていたことが不要なことに気が付きます。
テレビで「必要ですよね~」と言っていたことが、「うちは違う」と判断できるようになれば、「大企業にみつぐ病」完治も間近。無駄な出費が減るので貯蓄が増え、心も軽くなりますよ。
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