私たちの「食べ物」。実は、こんな問題があるってご存知ですか?
- 農薬汚染の深刻化
- ゲノム編集、フェイクミートなど、未知な技術の導入
- 家畜の高密度飼育
そして
- 農家の種取禁止など、農家に不利益な規制
- 日本政府主導による「農業」「酪農業」の経営難
コレが、ものすごいスピードで同時進行しています。
けれども、よく見ると……すべて「グローバル企業」が日本農業を乗っ取り、「食べ物」を「カネの素」に作り替えているのが原因では?
この事実が、理論的に書かれている本を見つけました。
ココでは、私たちの食べ物の実態を「私たちは何を食べているのか」を通してご紹介します。コレを読めば、今日食べたご飯が「食べ物」なのか「カネの素」なのか、判断できるようになりますよ!
農薬汚染の深刻化
日本で問題になっている農薬は
- ラウンドアップなどのグリホサート系
- ネオニコチノイド系
主に、この2つです。どんな問題があるのか、具体的に説明しますね。
ラウンドアップなどのグリホサート系
「ガンになったのは、ラウンドアップのせいだ!」こういう訴訟が、アメリカで相次いでいます。
そこで、バイエル(ラウンドアップの開発企業モンサントを買収した企業)は一部の原告と和解したんですが……
2020年6月24日、バイエルは訴訟に区切りをつけるべく、アメリカの約12万5千人の原告の大半に合計最大109億ドル(約1兆1600億円)を支払うことで和解したと発表しました(2020年6月25日「日本経済新聞」)
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P5
ココで紹介されている、日本経済新聞の記事がコチラ。

この記事を読むと、訴訟はまだ続いているんです。ってことは「もっとお金がかかる」という事……
とうとうバイエルは「ラウンドアップを含むグリホサート系農薬は、2023年までにアメリカ一般家庭市場から撤退」を決めました。

ちなみに「グリホサート」は、「発がん性」だけでなく「環境ホルモン作用」も指摘されています。
グリホサートは発がん性のみならず、環境ホルモン作用があり、出生異常、脂肪肝のほか、自閉症スペクトラム障害(ASD)になるリスクが高いことが示されています(『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』2019年3月20日)。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P5
こういう事実を受けて、世界中の国で「使用禁止」「農地以外で使用禁止」になっているんです。詳しくは「私たちは何を食べているのか」9ページをご覧ください。
コレ、日本で報道されていますか?
それどころか、大売り出ししていますよ!

これは2020年「JA-POP甲子園」の「ラウンドアップ部門」の様子です。実は2022年も「除草剤部門」ということで、同じようなコンテストを行っています。けれども、その記事が電子版にはありませんでした。
「モンサント」については、コチラで詳しく説明しています。
ネオニコチノイド系
ネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコ)は、1990年代から使われ始めました。
その結果、「ミツバチが大量失踪」

農作物は「受粉」しないと実がなりません。つまり「ミツバチがいないと、食料危機」になります。
そこで、いろんな議論がされましたが、
ダニやウイルス、農薬による環境破壊など様々な原因が議論されてきましたが、2012年、『ネイチャー』、『サイエンス』にその根拠が掲載され、主原因はネオニコチノイドという事で決着したようです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P17
ネオニコが原因でした。
今では、農薬会社も「ネオニコはミツバチに影響が出る」と認めています。

そのため、世界各国でネオニコの使用が規制されています。詳しくは「私たちは何を食べているのか」19ページをご覧ください。
なぜか、日本は規制緩和
それなのに、日本は規制を緩和しました。
国際社会が規制許可や使用禁止の措置をとっていますが、日本だけは2015年から2017年に3農薬とアセタミプリドの規制緩和を行い、スルホキサフロルの新規認証をしています。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P20
その結果、「農作物を輸出する農家」には
徳島県では、炭酸ガス処理とミヤコバンカーの併用を、化学農薬の使用規制の厳しい海外への輸出を検討する生産者にすすめています。
現代農業 2022年6月号 p137
「天敵の使用」……つまり「無農薬」をすすめています。
ネオニコの健康被害が明らかに?
そして「ネオニコによる健康被害」も、明らかになってきました。
2019年7月、獨協医科大学・市川剛医師らの研究グループは、アセタミプリドの代謝産物(DMAP)が胎児に高確率で移動する可能性を示唆した世界初の報告を「PLOS ONE」(2019年7月1日)に発表しました。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P23
その論文がコチラ。
DMAPとは、ネオニコ代謝物で「記憶喪失」「指の震え」などの症状を持つ患者から検出されるそうです。
この論文は
胎児期および新生児期は神経学的発達にとって非常に重要であり、子宮内での代謝産物の移動および蓄積によるアセタミプリドの安全性に関してさらなる研究が必要である。
LC-ESI/MS/MS analysis of neonicotinoids in urine of very low birth weight infants at birth PLOS ONE Published: July 1, 2019 2022/12/13引用 DeepLにて自動翻訳
結論で、こう指摘しています。
洗っても落ちないネオニコ
「農薬は、洗えば落ちるから大丈夫」と思っていませんか?ネオニコは、食べる部分に残っていますよ。

「農民連食品分析センター」では「市販のりんご」について、ネオニコを測定しました。その結果、「皮、実に、測定できるぐらいネオニコが残っています」と判明。
みかんも、「皮、実に、測定できるぐらいネオニコが残っています」

そういう農薬を、日本では規制緩和しているのです。
等級を緩和すると、ネオニコの売り上げが落ちる?
「米」に使われるネオニコは「着色粒」対策。

「着色粒」が出ると「等級」が下がり、収入が減るので、原因になる「カメムシ」をネオニコで駆除するのです。
けれども「着色粒」は「見た目だけ」。食べても無害です(実際、私は食べています)。そして今は「機械選別で除去可能」。

農家が小売販売する米は、検査を経て「等級」を付けられますが、
一方、業務用米は検査を受けなくても三点表示(注:「産年」「産地」「品種」)ができるのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P26 注はサイト管理者による 2022/12/13引用
「業務用米」は、検査を受けなくてもいいのです!そして「輸入米」には、そもそも等級がありません。
さらに、こんな本音も。
2020年7月に閣議決定された規制改革慈氏計画に米の検査規格の見直しが入りました。輸入米や大規模企業農業のための規制見直しであり、米の等級見直しはされませんでした。「等級を緩和すると農薬使用量が減ってしまう」との意見が議事録にありました。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P26 太文字はサイト管理者による 2022/12/13引用
日本政府は、食べ物を「カネの素」と思っていませんか?……ひょっとして、私たちが「カネの素」になっていませんか⁉
なお、ネオニコについては、コチラでも詳しく説明しています。
ゲノム編集、フェイクミートなど、未知な技術の導入
食べ物に「新しい技術」……「食べてもいいの?」と思いますよね。
ココにも、いろんな問題があるのです。
安全性試験がない「ゲノム編集食品」
現在、日本ではゲノム編集の
- トマト
- 真鯛
- トラフグ
が流通しています。
しかし政府は、これらの食品の「安全性試験を一切していない」って、ご存知ですか?

企業が提出した書類に、目を通すだけなんです。
企業秘密だらけ「フェイクミート」
シンガポールが先行して開発している「代替肉」「培養肉」などの「フェイクミート」。

ビル・ゲイツは
少なくとも牛肉には、合成[植物ベースのハンバーガーのようなタンパク質の代替品]が必要になるのではないかと心配しています。
Bill Gates: Rich nations should shift entirely to synthetic beef MIT Technology Review February 14, 2021 2022/12/13引用 DeepLで翻訳
こんな事を言っています。
ただ安田さんは、こう指摘していますよ。
牛のゲップ(消化管内発酵)がメタン発生源として問題視されていますが、GMトウモロコシなど本来の食性ではない飼料を与えられている場合、メタン放出量が多くなります。牧草中心のエサで飼育された牛では少ないのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P121
その根拠がコチラ。

ガスを減らす飼料とは「小麦と大豆の代わりに、牛たちはアルファルファや亜麻の種、牧草のミックス飼料」だそうですよ。つまり「グローバル企業」が作り出した「遺伝子組み換え大豆・トウモロコシ」が問題なのでは?
さらに、
肉の安全性が問題になるのは、ひたすら低コスト生産を追求し、家畜を命あるモノとして扱わず、家畜の生理を無視した高密度飼育で病畜を生み出すからです。そして、それに対処するために抗生物質をはじめとした薬剤が大量に使用されるのです。そうした畜産物が、人の健康を脅かしているのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P121
いろんな問題の根底には、食を「カネの素」にする「グローバル企業」がいることが分かります。
では次に、ココで出てくる「高密度飼育」の実態を、詳しくご紹介しますね。
家畜の高密度飼育
「高密度飼育」は、あらゆる家畜にとっての「共通問題」です。ただ、ココでは「鶏」に絞って、ご紹介します。
鳥インフルの蔓延
日本の養鶏業は、大型化が進んでいます。

これは、「効率化」を推す「日本政府の方針」です。
ただ、行き過ぎた「大型化」「高密度飼育」が、「鳥インフルエンザの強毒化」に関わっているのでは?と言われています。
農業情報研究所の記事(2005年11月15日)によると、オタワ大学のウイルス学者アール・ブラウンがカナダの鳥インフルエンザ発生後に「高密度飼育は強毒性鳥インフルエンザ・ウイルスを生み出す完璧な環境である」と指摘しました。同年10月、国連タスクフォースは、鳥インフルエンザ・パンデミックの原因のひとつとして、”巨大な数の動物を小さな空間に密集させる”飼育方法をあげています。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P86
その「元ネタ」がコチラ
農業情報研究所のリンク記事は削除されていたので、他のところから引用しました。
これ、分かりますよね。「巨大な数の動物を小さな空間に密集させる」……都市部に人口が集中した結果「新型コロナのパンデミック」が起きたのと一緒です。
「効率」を考え「海外依存」「立てない鶏」
日本の鶏は、ほぼすべて「海外からの輸入品」。
たとえば「肉用ブロイラー鶏」は、「より早く」「より太く」育つよう、品種改良されています。
肉用のブロイラー鶏は、骨格構造が成熟するよりも速い速度で体重が増加するため、腰やひざの関節骨格が体を支えることができなくなり、脚弱、歩行困難に陥ることも珍しくなく、短命です。病気やウイルスに対する抵抗も弱いのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P88
その「肉用のブロイラー鶏」の写真が、本著88ページにあります。開脚し、へたり込む鶏……健康な鶏は、こういう姿勢を取れないのでは?
日本で進まない「アニマルウェルフェア」
アニマルウェルフェアとは「動物福祉」。
農林水産省でも
家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながることから、農林水産省としては、アニマルウェルフェアの考え方を踏まえた家畜の飼養管理の普及に努めています。
農林水産省HP アニマルウェルフェアについて 2022/12/13一部引用
こういう説明をしていますが……
日本は官民ともに「アニマルウェルフェア」の意識が低いんです。たとえば、
2018年、台湾に輸出した鶏卵にワタモ駆除農薬のスピノサドが残留しており、台湾の残留農薬基準オーバーで輸入差し止めとなりました。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P90
この「元ネタ」がコチラ

ただこのニュース、いくらネット検索してもヒットしません。
「日本の食品残留農薬基準は緩い」……知らないのは、日本人だけかもしれませんよ。
農家の種取禁止など、農家に不利益な規制
残留農薬基準は緩和する一方、2022年4月、改正された種苗法が全面施行されました。

いろんな意見がありますが、安田さんはこう指摘します。
これは、農家の自家増殖を禁止することで多国籍種子企業の種苗占有に道を開き、日本の農業、食料、そして食料安全保障に多大な影響を及ぼすものです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P59
どういうことか、説明しますね。
「自家増殖」できない
「接ぎ木」という技術。病害虫に強くなる場合があるので、よく使われます。

こういう事が、今まで通りにできなくなりました。
種苗法成立時から、こういう「自家増殖」は「農家の特権」で認められてました。それを、農林水産省が突然「禁止品目」を289種に急拡大。
そしてとうとう、すべての登録品種について、農家の自家増殖を原則禁止(許諾性)にしたのです。
許諾製ですから、手続きを取ればOKなのですが……

かなり複雑みたいで、農家が困惑しています。
在来種、ちょっと変えれば「登録品種」
タネには2種類あります。
- 一般品種:在来種。品種登録されたことがない品種。品種登録期間が切れた品種。
- 登録品種:品種登録された新品種。
この「一般品種」をもとに、「登録品種」を作るのですよ。
ただ、親子ですから、性質が似通う場合が。
今回の改定では、新品種の持つ特徴を期した特製表により「登録品種と特性により明確に区別されない品種」であると推定された場合、品種登録県が及ぶことになっています。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P67
この判断に使う「特性表」というのがあるのですが……
改定では、特性表で「同じもの」と推定することで種苗法違反を簡単に判定できる制度になって、育成車検の違反を訴えやすくしています。しかも品種は特性が変わっていくので、きぎゅは特性表を修正でき、一方的に企業有利になっているのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P67
つまり、自分で改良を加えた「一般品種」が、ある日突然「ウチの登録品種と特性が一緒だ!」と訴えられる可能性があるって事。
これ、農家が委縮しますよね。
それなのに「種の持ち出し」は防止できない
それなのに、農林水産省はこんな事を言っています。
なにより農林水産省自身が「種苗などの国外への持ち出しを物理的に防止することは困難」とし、「海外などにおいて品種登録を行うことが唯一の対策」と述べているのです。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P61
あれ?「もぐもぐタイム」のイチゴ問題は、この法律で解決するんじゃなかったんですか?

結局この法律は、多国籍種子企業に「日本のタネを利用して、金儲けしてね」……つまりタネを「カネの素」にするためのモノでは?
特許種子であるGM種は契約で農家を縛り、自家増殖を禁止し、特許料を上乗せした、価格の高い種を毎年購入させることができ、多国籍企業に大きな利益をもたらしてきました。しかし、ゲノム編集種子の場合、品種登録をしても農家の自家増殖を認める種苗法のもとでは、GM種のような大きい利益を得るのは難しいのです。そこで、自家増殖の禁止が必要と考え、この請求がアメリカから伝えられた日本政府は、急ぎ自家増殖禁止の現実を目指したのかもしれません。
私たちは何を食べているのか 安田節子著 三和書籍 P65
これはあくまで「安田さんの憶測」です。
けれども、TPPは「交渉内容が非公開」ですので、

確かめようがありません。
日本政府主導による「農業」「酪農業」の経営難
このような「日本政府の悪政」により、日本農家は「壊滅的な打撃」を受けています。
そして「鳥インフルエンザ」

11月から、突然猛威を振るい出しました!
コメの作況は「100」なので、米がなくなることはないと思いますけど……

「ウクライナ危機」「円安」で「食料高騰」したら、困るのは、私たち「庶民」ですよ!
困る前に、今からできる事をしませんか。例えば、こんなことは?
色々ある「声の届け方」
先ほど紹介した、この記事。
ココで「声のあげ方」を詳しく紹介しています。目次を引用すると、
特に「要望書」……見たことありませんよね。けれども「結構身近」なんですよ~。
たとえば、このニュース

一連の流れが「表」になっていますよね。

つまり、「子どもが遊べない公園は、親が管理できません」と、市に「要望書」を出したんです。
その「要望」が認められ、公園閉鎖に。【正しく知って、正しく応援】の記事に「書式」「書くときの注意点」も貼り付けましたので、気軽に「要望」を出してみましょう。
今回紹介した「私たちは何を食べえているのか」にも、市民が立ち上がって
- 有機野菜を使う給食が実現(p48)
- 市民団体が「合成化学農薬全面禁止」を訴え、国民投票に(p41)
- 「ハチと農民を救え!」という市民運動で、ネオニコ禁止に(p35)
「カネの素」から食べ物を取り戻しています。
すべてのカギは、私たちがにぎっていますよ!
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