【簡単解説】「有機肥料」と「化学肥料」のちがいはココ!

本物の食物

「素材から手作りご飯」「コンビニ弁当」「スナック菓子」「栄養ドリンク」……人間の食べ物は、いろいろありますよね?

実は、植物も一緒。「素材から手作り」「保存料入り」「栄養ドリンク」……豊富な品揃えなんですよ~。ただ、ホームセンターで売られている肥料を見ても、よく分かりません。

ここではそんな「肥料」の働き方の違い、見分け方をご紹介します。


有機肥料は家庭で作られた「こだわりの手作りご飯」

微生物に分解してもらって 肥料になりま

地球上の物質は循環しています。

「動物の死がい」「排泄物」は、循環して「植物のごはん」になります。ただ、そのままでは使えません。

たとえば、昔の人は「こえだめ」という仕組みを作り、排泄物を微生物に分解してもらい、肥料にしていました。

日本は奈良時代あたりから排泄物は農家の肥料として使われ、鎌倉時代には排泄物の有効利用がほぼ機能していた。

うんちの行方 神舘和典 西川清史著 新潮新書(2021) p157

今は家畜のフンを使いますが、作り方は同じです。

  • 山積みにする。
  • 微生物が有機物を分解する。(酸素を使う)
  • ホカホカ熱くなる。(60℃ぐらい)
  • 混ぜる。(酸素を入れる)

これを半年ぐらい繰り返すと熱くならなくなります。「完熟たい肥」の出来上がりです。

ただ、

  • 牛ふんの中に厄介な雑草の種が入っていたら、畑で生えてしまう。
  • 60℃ぐらいまで熱くならず虫の卵が死ななかったら、虫が発生することがある。

こうならないように、畜産農家との連携豊富な経験が必要になります。完熟たい肥づくりは体力、気力、時間を使う大仕事なのです。

だから、植物にとっての「有機肥料」は、各農家で作られる「こだわりの手作りご飯」と言えます。

化学肥料は工場で作られた「栄養ドリンク」

窒素 リン酸 カリ この一粒にすべて入っています

化学肥料を作るために必要なものは

  • 高温
  • 高圧
  • 触媒(反応をうながす)
  • 水素を作るためのエネルギー
  • これに耐える頑丈な工場

エネルギーをたくさん使う大工場で作られます。興味のある方は、ハーバーボッシュ法で検索してください。

化学肥料は微生物を増やせない

植物界のエナジードリンク

畑に化学肥料をまくと本当によく効きます。けれども、この効き方は「栄養ドリンク」と同じなのです。

化学肥料には「窒素」「リン酸」「カリウム」がバランスよく含まれていますが、微生物のエサになる有機物は入っていません。ですから、その年は豊作になるかわり、化学肥料によって土壌微生物が変化してしまい、次の年以降、土の元気がなくなります

土を変化させてしまう

これなら土も硬くならない

ミミズは有機物を食べ、畑を耕しています。ミミズのフンを見たことありますか?丸くて、ちょっと固い粒です。うさぎのフンをもっと小さくした感じ。

ミミズがたくさんいる畑の土、触ったことありますか?ふかふかで、どこまでも棒が入ります。雨が降ると粒に水が貯えられます。

  1. 畑にある植物がカビなどによって、ちょっと分解される。
  2. 食べやすくなった植物をミミズが食べる。
  3. ミミズは土の奥深くに潜る。
  4. そこでコロコロしたフンをする。

こうやって、ミミズが畑を耕し、保水力を高めるのです。化学肥料が使われると、微生物がいなくなり有機物も減るので、この循環がなくなります。

さらに、化学肥料は農薬とセットで使われます。この二つを畑にまくとき、トラクターを使います。

これじゃないと、畑でうごけないのです

トラクター、見たことありますか?畑はアスファルトとはちがい本当に走りにくいので、重い車体、大きくて太いタイヤが必要なのです。これが、保水力が高いコロコロの土をつぶしてしまいます。

栄養ドリンクだけじゃ、強く大きく育たない

植物の根と人間の腸は同じです。いろんな微生物、栄養が複雑に関係しあって、

  • ホルモン
  • ビタミン
  • 短鎖脂肪酸
  • 免疫系

こういう、重要なものを生産、管理しています。人間も、栄養ドリンクや点滴だけでは強く大きく育ちません。作物も一緒です。

私たちが有機肥料を使いたかったら 選択肢は2つ

無農薬トマト 濃厚 美味

「化学肥料は使いたくない」「有機肥料を入手したい」と思った方。入手方法が2つありますよ!

コンポスト

私たちが家庭で使うときはコンポストが便利。これも「立派な有機肥料」です。

ごみを減らすために、自治体で作り方を指導してくれることもあります。広報誌をチェックしたり、役場に直接聞いてみましょう。

お店で購入

ホームセンターでも有機肥料は購入可能。有機肥料は「有機」とはっきり書いてあります。ただ、こんな商品には

注意が必要です。


これは有機肥料入りの化学肥料です。「化成」は化学と同じ意味。ちょっとぐらい化学肥料を使ってもいい、という方には、これがよいと思います。

化学肥料はどうしても必要な時に使う

化学肥料の材料は全て輸入品です。地下資源をたくさん使わないと作れません。気候変動の一因ともいわれています。

だから、収量が収入につながる農家は作物の状態を見て使うことがあるかもしれませんが、一般家庭には必要ないと思います。

化学肥料を使うと雑草も元気になります。その手間も考えて、使うかどうか判断してみてはいかがでしょうか。


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