TPP(環太平洋パートナーシップ協定)というのは、カンタンに言うと「協定を結んだ国は、関税をなくします」という決まりです。国境はあるのですが、「大企業にとっては、協定を結んだ地域は1つの国」という感じになります。
2018年に発効された「TPP」これによって何がどう変わってきたのか、今後どう変わるのか、ご存知ですか?
そもそも、この協定の最重要課題は「お金」。「大企業だけ金儲け」の思惑が透けて見えます。どういうことなのか、ココで詳しくご紹介します。
輸入食材の安さが、「本当にこれでいいの?」と思えてきますよ……
まず、TPPとは
そして、外務省が「TPP協定の説明」というPDFを出しています。これが334ページもある上に、文章が読みにくい!
興味のある方は読んでください。
具体的には
では、外務省の文章から、私たちの生活にかかわる文章をご紹介しますよ。
各締約国は第二章の規定の対象である事項について締約国間の連絡を円滑にするため連絡部局を指定すること、物品の貿易に関する自国の利益に悪影響を及ぼすおそれがあると信ずるものについて他の締約国に対して臨時の討議を要請することができることなどを定める。(第二・九条)
環太平洋パートナーシップ協定の説明書(外務省HP) 2022/2/21 引用
つまり、「あの国の制度は、我が国の利益に反する」と文句が言えるのです。
具体的にどういうことか、日本の「かんぽ生命」と、米国の「アフラック」を例に説明します。
日本には、民間の生命保険会社がたくさんあります。ですから、郵便局が扱う簡易保険は、「国営企業が、民間と同じサービスを提供している」と、とらえる事もできますよね。
アメリカが、まだTPPの交渉に参加していた頃。アフラックが「政府出資の日本郵政のがん保険は、民業圧迫だ」と主張。そのため、「両社の業務提携が拡大した」と言われています。
これ、あくまで噂です。なぜなら、
現在、米国など9カ国が行っている環太平洋連携協定(TPP)交渉で、交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました。
新聞赤旗 TPP交渉に「守秘合意」発効後4年間、内容公開せずより 2022/2/22引用
「なんでも秘密」という決まりがあるからです。さらに
交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできません。
新聞赤旗 TPP交渉に「守秘合意」発効後4年間、内容公開せずより 2022/2/22引用
業務提携の裏側は、許可された人以外は知ることができないのです。
今までに起きた良い事、悪い事
こんな感じで、市民が知らないうちに、色々な制度が細かく変わっています。
良い事は……
身近で起きた良い事は、輸入品の関税撤廃でしょうか。海外の商品が安く手に入るようになりました。
悪い事 残留農薬基準の緩和
悪い事では残留農薬基準の緩和。
たとえば、グリホサート(商品名:ラウンドアップ)。これは、2019年の改正により、残留農薬基準が大幅に緩和されました。
実は、2021年1月、ニュージーランド産のはちみつから、基準値以上のグリホサートが検出されて話題になったんです。
今後、ニュージーランドから「日本の残留農薬基準は、我が国の利益に反する」と言われたら、基準緩和しないといけなくなりますよ。
TPPとは、こういう決まりなのです。
巨大アグリ企業の利益優先
種も同様。種子法が突然なくなり、種苗法が改正されたのも、TPPがらみだと言われています。
巨大アグリ企業が「遺伝子組み換え」「ゲノム編集」を売り出す場合、「国が種を保護するのは、企業の利益に反する」……。だから種子法をなくして、種苗法を改正したのでは?
あくまで「憶測」ですけどね。
そして、こんなことも決まっていますよ。
これによって、
- 無添加、化学調味料不使用という言葉が使えない
- 表示だけでは、原産国が分からない
- 遺伝子組み換え不使用表示ができない
……これ、消費者から見たら「不便」ですよね。これも「TPPがらみでは?」という噂が。
いやいや、ちょっと待って。私たちの健康は?知る権利は?
同じ過ちを繰り返している
この、一連の動きの中心にあるのは「お金」です。
私たちの健康や、自然環境を犠牲にして、大企業にお金が集まるようにしているだけなのですよ。この風景、最近見たことありませんか?
新型コロナの場合
新型コロナワクチンによる後遺症が問題になっています。
私も当事者の声を聴く機会がありました。「病院をたらいまわしにされ、最後は〈心の病〉にされる」と、被害者が訴えていました。
これで、いったい誰が幸せになるのでしょう。コロナワクチンを開発した大企業が金儲けするだけじゃないですか。
原発の場合
原発は、事故原因すら特定されていないのに、「完全にコントロールしている」と言った首相がいました。
いまだに、デブリの処理は進まず。「処理水」という名の「放射性物質を含む水」を海に捨てようとしています。
この本を読めば、お金に目がくらんだ企業や行政が、責任逃れをしていることが分かります。
水俣病の場合
そして、公害。過去の話みたいですけど、現在進行形なんですよ。
水俣病は、1956年に初めて患者の発生が報告されました。
それからも工場は1968年まで操業。原因物質(メチル水銀)を垂れ流し続けました。一部の方は補償金を受け取りましたが、それで健康が戻るわけではありません。そして、いまだに認定されていない方がたくさんいらっしゃいます。水俣病は、まだ解決していないのです。
そして、汚染された海域は埋め立てられただけ。メチル水銀は、今も地中にあるのです。
1982~85年に鋼板を設け、90年に埋め立てが完成した。
公益財団法人 森林文化協会 水俣、地下に眠る水銀 埋め立て地、液状化など懸念 より 2022/2/22
この鋼板は「耐用年数50年」。つまり、50年経ったら、また工事ですよ。
正しい事を知って、正しく怖がろう
つまり、「TPPは、大企業が自由に金儲けできる手段」なのです。
「安い輸入品が買える!」と思ったら、残留農薬がたくさん入っていたり。天候不順で不作になったら、輸入できなくて飢える、という可能性もあります。
そして、「金儲け」と「環境破壊」「庶民の健康被害」はセットです。
アメリカでは、ラウンドアップの健康被害による訴訟が絶えず、バイエルの株価が暴落。結果、バイエルは2023年までにアメリカの一般家庭市場からグリホサートを引き上げる予定と発表しました。
これを、日本では山積みにして売りさばいています。
在庫処分セールみたいじゃないですか?
私たちは、こういう事実をよく知って、TPPの本質を見極める必要があります。
それでもラウンドアップを使ったり、ゲノム編集動植物を食べたり、新型コロナワクチンを接種するのなら、それでよいと思います。
ただ、テレビなどの報道がいつも正しいわけではありません。情報をうのみにせず、自分で調べて考えて、自分の意見を持ちませんか?そして、TPPに関しても自分の意見を持ち、商品を買うか、サービスを利用するか、考えることをおすすめします。
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