大きいものは大きいなりに、小さいモノも小さいなりに問題が…【プラスチック】

プラと生活 

とても便利な「プラスチック」……広く使われ始めて半世紀。いろんな問題が分かってきました。ココでは「プラスチックの物理的な問題」をご紹介します。


ちなみに、「化学的な問題」はコチラで紹介しています(プラスチックの問題「化学編」)。

プラスチックの物理的問題点

プラスチックは便利ですよね。

  • 分解されない
  • 水を通さない
  • 軽い

こんな「便利な特徴」が今、巨大ブーメランになって返ってきています。

景観を汚す、回収しても次々流れてくる

夏になると海岸に人が大勢集まります。そういう海岸は「元からキレイ」なのではなく、「地元の方が掃除し続けているからキレイ」なのです。

観光地はお金をかけて掃除を続けることができます。掃除をすれば観光客が来てくれて、そこでお金を使ってくれるからです。



しかし、「無人島」「人気がない浜」は、プラスチックに埋もれていきます。

画像はイメージです

人がほとんど近づかない浜には、何年にもわたって漂着したごみが2メートルほども積み上がっていた。上を歩くと足がずぶりと沈む。多くがプラスチックごみだ。

朝日新聞 (環境 転換点2030)脱・プラ社会:1 海のプラごみ、依存映す 2020年6月21日 朝刊より

プラスチックは容易には分解されないため、人が掃除をしなければこのような状態になります。

「取っても取っても流れ着く。発生源を止めないと無理だ」

朝日新聞 (環境 転換点2030)脱・プラ社会:1 海のプラごみ、依存映す 2020年6月21日 朝刊より

地方の小島では少子高齢化が進み、掃除をしたくても人集めが大変です。更に、近年は台風が大型化。台風通過後は、今までにないほどプラスチックが流れ着くそうです。


野生動物に食べられて、胃袋に溜まっていく

「海鳥の死骸から、プラスチックが大量に出てくる」というニュースは世界各国から報告されています。

海のプラスチックに「匂いの罠」、動物誤飲の一因
海鳥、魚、クジラなどが海洋プラスチックごみを大量に食べてしまう意外な理由が明らかになった。

日本では海遊館が、飼育していたジンベエザメの胃の中から出てきた「プラスチック製のくし」を展示していました。(2020年7月現在)

"未来の環境のためにできること" 新コーナーを開設します | 海遊館ニュース
海遊館では、大きなジンベエザメたちが悠々と泳ぐ巨大水槽や、自然を体感するエリアなどで、たくさんの感動に出会えます。ダイナミックな太平洋をめぐる旅へ出かけましょう!



保護されたウミガメが「ひと月エサを食べずに、プラスチックを排出し続けた」という報道も。

保護されたウミガメが1カ月以上プラごみ排出 海遊館
昨年11月に高知県土佐清水市沖の定置網に迷い込み、保護されたアオウミガメが、移送先の海遊館(大阪市港区)で、1カ月以上にわたってレジ袋や食品の包装容器などプラ…



「プラスチックでおなかがいっぱいで、ご飯が食べられない」……どう考えても、不健康ですよね。


漂う網に絡まり、傷つく、命を落とす

網がからまってどうにもならなくなった際、漁師さんが「網を切り捨てる」ことが。その「プラスチック製の網」が海中を漂い、ウミガメなどが命を落とす例が報道されていますよ。

【動画】ウミガメ300匹超が大量死、メキシコ沖
メキシコ南部の海で、300匹を超えるヒメウミガメが大量死しているのが発見された。海に流出した漁網に絡まったと考えられる。


ウミガメの鼻にストローが刺さった写真、動画を見た方は多いのでは。

【動画】鼻にストローが刺さったウミガメを救助
南米コスタリカでヒメウミガメの調査をしていた研究者グループが先日、鼻にストローが刺さった個体を発見、救助した。

自然界に漂うプラスチックは、動植物に大きな影響を与えるのです。


分解されないから増え続ける

プラスチックは分解しづらく、小さくなっても残っています。だから、人がプラスチックを作り続ける限り、自然環境中のプラスチック量は増え続けます。

コンクリート、プラスチックなど地球上で人間が作り出したものの総重量(人工物量)が、植物や動物などの総重量(生物量)を初めて上回ったかもしれない、という論文が発表されて話題になりました。

コンクリ・プラなどの人工物、自然由来上回る - 日本経済新聞
人間がこれまでにつくり出したコンクリートやプラスチックなどの総量は1兆トンを上回り、森林や植物など自然由来のものよりも多くなる見込みだ。イスラエルのワイツマン科学研究所のチームが12日までにこんな試算をまとめた。こうした人工物の量は人間の消...

家の中を見回しても、

  • ペンキ
  • 壁紙
  • お風呂
  • 台所などの水回り

「見栄えをよくするため」「ガラス」「陶器」の代わりに、軽くて丈夫な「プラスチック」が使われています。

「薬」「化粧品」「日用雑貨」もプラスチック容器入り。製品自体にプラスチック類が含まれていることも!例えば、柔軟剤の香りを閉じ込めている「マイクロカプセル」はプラスチック製ですよ。

「家電製品」もプラスチック製。プラスチックは電気を通さないので、大変都合がよいのです。

「衣類」も、たとえ「原材料:綿100%」と書いてあっても「レース」「刺繍糸」ポリエステルの場合が。「伸び縮みするジーンズ」ポリウレタンの効果です。


こういうプラスチックはすべて、少しずつ「小さいプラスチック」になっていきます。


自然が傷つく時は、人も傷ついている

現在のところ、人間に具体的な被害はないかもしれません。ただ、もし被害が分かったら……自然界には把握できないほどのプラスチックがありますよ。

  • マイクロプラスチック
  • ナノプラスチック
  • 空気中のプラスチック
  • 深海に沈んだプラスチック

……全部回収できますか?



では「新しいプラスチックを作らなければいい」「今あるプラスチックを分解して、またプラスチックにしよう」と思いますよね。

分解して原材料に戻すためには「劇薬」「電気」をたくさん使います。そのエネルギーを生み出すのも大変です。廃液は危険なので、処理しないと自然界に流せません。ここでも大量のエネルギーを使います。

だから、

  • 今、プラスチックを使うのをやめませんか?
  • 「プラの代わりになるモノ」を使いませんか?

という動きが出ているのです。



プラスチックはどうやって調べるの?

ところで、「海や空気から採取した破片」。すべてが「プラスチック」ではありません。

プラか否か、どうやって見分けているか知っていますか?見た目で判別するのではありません。一つひとつ、装置で調べているんです!

そんな地道な「プラスチック判別方法」を、下のサイトでご紹介します。


実は、ものすごい作業が必要なのです…


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