「忙しい」「今日は面倒」というとき、外食したりお弁当を利用します。「便利な調味料」を買うときもありますよね。
- 安い
- 長持ちする
- 美味しい
本当に便利です。
けれども「なぜこんなに安いの?」「長持ちするの?」不思議に思いませんか?
そこには「たくさんの理由」があるのです。ココでは、具体的にどんなことをしているのか、分かりやすくご紹介します。
「すべて手作りぎょうざ」と「チルドのぎょうざ」はこんなにちがう!
いろんな加工品がありますが、「ぎょうざの原材料」を比較しますね。
「すべて手作りぎょうざ」原材料
「すべて手作りぎょうざ」はコチラ
使う材料は
- 野菜:キャベツ、ニラ
- 皮:強力粉、水
- 具:豚肉、コショウ、ショウガ、しょうゆ、塩
皮は段々伸びが悪くなるので、当日しか使えません。具はすぐ痛みます。焼いた餃子は、時間がたつと水分が出てくるので、すぐ食べなければいけません。
「チルドぎょうざ」原材料
お店でよく見る「チルドぎょうざ」の例です。
- 野菜:キャベツ、白菜、玉ねぎ、ねぎ、生姜、にんにく
- 皮:小麦粉、粉末状植物性たん白、植物油脂、食塩
- 餡:豚肉、豚脂、粒状植物性たん白(大豆を含む)、パン粉、ごま油、しょうゆ(大豆、小麦を含む)、食塩、砂糖、香辛料、調味料(アミノ酸等)、酢酸Na、グリシン、着色料(カラメル)
消費期限は「4~5日」。プラスチック容器に入って、輸送されてくるのに、手作りより「値段が圧倒的に安い」のは、なぜでしょう?
日持ち、値段のちがいはココ
この「チルドぎょうざ」。原材料にいろんな「化学物質」が使われていますよ。どういう目的で入っているのか調べてみました。
粉末状植物性たん白
皮に含まれる「粉末状植物性たん白」は、「グルテン」のことです。

パナソニック Panasonic 小麦グルテン(500g×2) SD-PGR10[SDPGR10] panasonic
お米パンに使う場合があります
- 薄力粉
- 中力粉
- 強力粉
これらの違いは「グルテン量の違い」。たとえば、「ホットケーキ」と「パン」は、生地の感触が全く違いますよね。これが、「グルテン量の違い」です。
だいたい、薄力粉は強力粉より「安い」んです。だから、安い薄力粉を買ってグルテンを入れて、皮に「歯応え」を出したのでしょう。
粒上植物性たん白
あんに含まれる「粒状植物性たん白(大豆を含む)」とは、噛み応えが欲しい時に添加される「大豆たんぱく」のことです。大豆から油をしぼり取り、残った部分から取り出すことができます。
「遺伝子組み換え大豆」が使われているかもしれませんよ。
調味料(アミノ酸等)
「調味料(アミノ酸等)」の代表例は、「グルタミン酸ナトリウム」。

味元【グルタミン酸ナトリウム】 うま味調味料 20kg
20㎏です。大袋は紙なんですね。
微生物で「でんぷん」や「糖」を分解して「グルタミン酸」を作ります。それを「水酸化ナトリウム」などで中和して、粒にしたものが市販されています。
酢酸Na(ナトリウム)
「酢酸Na(ナトリウム)」は、「pH調整剤」としても利用されます。

酢酸ナトリウム 250g食品添加物グレード 粉末 100%酢酸ソーダ 単体 自由研究 温熱パッド 実験 氷 過冷却 宿題 一瞬で凍る水 エコカイロ 日持ち向上 酸味料 pH調整剤 調味料
安息香酸の代わりに注目されています
「雑菌が繁殖しないpHに調整」するのが目的でしょう。
グリシン
「グリシン(アミノ酢酸)」は「アミノ酸の一種」です。

国内製造 グリシン 1kg 【送料無料】【メール便で郵便ポストにお届け】【代引不可】【時間指定不可】 (glycine) アミノ酸 食品添加物 [01] NICHIGA(ニチガ)
最近は、眠れない人用のサプリにもなっている グリシン
色々な食べ物の中に含まれ、水に溶かすと「酸性」になります。なので、「pH調整」でよく使われます。
また、
- 甘味
- うま味
も含むので、「調味料(アミノ酸等)」と「一括表示」される場合もあります。
「眠れない人用のサプリ」にもなっているので、大量に摂取すると眠くならないか心配です。
着色料(カラメル)
「着色料(カラメル)」は、「カラメル色素」のこと。
日本では「4種類」に分けられ、食品添加物公定書(リンクは2018年第9版、1120ページあります)で定義が決まっています(498ページからカラメル色素のことが詳しく載っています)。
ざっくり説明すると、
- カラメル色素Ⅰ:糖を加熱して作る。自宅でプリンを作るときに作るカラメルです。
- カラメル色素Ⅱ:亜硫酸(NO2)で糖を焦がします。
- カラメル色素Ⅲ:アンモニウム化合物で糖を焦がします。(アンモニウム化合物の詳細不明)
- カラメル色素Ⅳ:亜硝酸とアンモニウム化合物で糖を焦がします。
このカラメル。「ⅢとⅣは問題がある」と以前から言われています。

カラメルは「焦げ」です。焼けばいいのに「薬品」を使うのは、「安い」からでしょうね。
調味料
調味料にも同じことが言えます。たとえば、塩。今はイオン交換膜を使い、塩化ナトリウムを99%以上含む食塩が効率的に作られています。

塩事業センター 食塩 5kg
この食塩は、少量でも脳天に突き抜けるような刺激的なしょっぱさがあります。
昔は海水を蒸発させ、釜で煮て塩を作っていました。天候にも左右され、とても手間暇がかかります。けれども、「味わい豊かな塩」なんですよ~。
柔らかなしょっぱさの中に「苦さ」や「甘み」すら感じます。
つまり、目的は…
つまり、「化学物質」を使うのは、
- 歯ごたえをよくする
- 日持ちさせる
- 味をよくする
- いつも同じ味にする
手軽に安く、こういう「効果」を持たせるためなのです。
肉、野菜のちがいも大きい
「手作り」と「市販品」。使う材料も違いますよ。
大量飼育で大切なのは「効率」
「チルド餃子」で使われるのは、「効率的に生産した肉」です。
ただ、「効率的に生産した豚肉」の場合、病気が蔓延しないように「抗生物質入りのえさ」を与えられ、早く成長するように「ホルモン剤」を投与されます。
また、狭いところで育てられる場合も。

だから、アニマルウェルフェア(農林水産省 アニマルウェルフェアについて)が話題になるのです。
そうして育った農畜産物には、複雑な味わいがありません。良く言えば「淡泊」で、「化学調味料を合わせやすい味」です。
つまり、「いつでも同じ味」が求められる
- ファミりーレストラン
- ファストフード店
- 加工食品会社
に「ピッタリな食材」なのです。
野菜も同じ
「化学肥料」「化学農薬」を使い、一斉に育てられた野菜には、強い味がありません。肉と同じで「化学調味料が合わせやすい味」なんです。
それに対し、ゆっくり育てられた農産物には「味わい」があります。ただ、その「味わい」が「苦い」「渋い」……つまり「人間にとって都合が悪い」時も。けれども、そういった味が植物を虫から守ったり、人の体に季節を知らせたりするのです。
ゆっくり育てる「食べ物」 大切なのは「心」
「ゆっくり育てる農家」の場合、野菜、豚を「ひとつの生命」として尊重して扱う方が多いですね。クスリもできるだけ使いません。
これは、米国で「完全放牧」「不耕起農法」を実践しているゲイブ・ブラウンさんの著書。
米国でも「補助金頼り」「後継者不足」が深刻なのですが、この本を読むと「ワクチン」「抗生物質」「化学肥料」「化学農薬」などの化学物質を一切使わなくても、農園は黒字経営。後継者も育つことが分かりますよ。
もちろん「採算」は大事です。けれども、重要視されるのは
- 環境に負荷をかけていないか
- 動植物に負担になっていないか
- 100年後も同じ事が続けられるか
つまり「親からもらった状態で、子どもにバトンタッチできるか」なのですよ。
「おいしい」「安全」という感覚が変わってきた
「豚肉の甘み」「野菜の風味」は、目を閉じて、よく噛まないと感じられません。
しかし、「化学調味料」は、口に入れる前から鼻腔を突き抜けます。口に入れたら、その味がネットリとへばりついて離れません。

小さい時から「化学調味料」に慣れ親しむと、これが「うま味」と思ってしまいますよ。
テレビで放映されているグルメ番組には
- こってりとソースがかかっている肉
- ドレッシングたっぷりの野菜
- フワッフワ、サクッサクでトロトロの食べ物
が出てきますけど、「素材の味」はするのでしょうか。
「おいしい」「安全」は企業で作られる
テレビの番組には「スポンサー」がついていますよね。
血糖値がぐんと上がると、セロトニンやドーパミンといった脳内物質が分泌されて、ハイな気分になります。
この、ハイな気分になるところを「至福点」と呼びます。
医者が教える食事術 牧田善二 著 ダイヤモンド社(2017) p35
実は清涼飲料水などのメーカーは、人の至福点について計算しつくし、商品を設計しています。
医者が教える食事術 牧田善二 著 ダイヤモンド社(2017) p36
2012年にネスレがウェブサイト上に載せた記事では、同社が販売する食品はビタミン類を強化しているので、訪問販売は「地域活動」の一環だと胸を張っている。ただし、栄養強化食品に大量の砂糖や精製テンプンも含まれていること、ブラジルの食生活からもっと栄養のある食品を駆逐してしまったことには触れていない。
「食べる」が変わる「食べる」を変える ビー・ウィルソン 著 原書房(2020) p65
たとえば、1965年に創業し、2010年にマクドナルドの世界での店舗数を抜いたファストフードチェーン店のサブウェイは、大々的な広告キャンペーンによって自社のサンドウィッチの栄養価を誇表し、2014年にはミシェル・オバマの肥満症撲滅キャンペーン「レッツ・ムーブ!」に資金援助し、「アメリカ人の健康パートナー」として名乗りを上げた。ところが、ソースをかけてチーズを挟んだサブウェイのサンドウィッチは、他のファストフードと同様、過剰カロリーの時限爆弾という代物なのだ。
食の歴史 ジャック・アタリ 著 プレジデント社(2020) p204
こういう、絶え間ない企業努力で「おいしい」「安全」が作られることもあるのです。
どちらを選ぶか、自分で考えよう
「25万人を内視鏡検査した医師」が、こんな指摘していますよ。
生物はそれが生きている自然の中から自分に合ったものを取り入れて、健康を保っているわけです。その自然の大元は水・土・太陽の光です。私がくどいほど丸ごと食べられる自然のものを、というのはこのためです。
胃腸は語る 新谷弘実 著 弘文堂(平成11年) p338
人間が自然の一環であり、自然の中ではぐくまれていることを忘れたら、健康に生きていけるはずがありません。
胃腸は語る 新谷弘実 著 弘文堂(平成11年) p339
脳も昔のまま、胃腸も昔のままです。
地球上に現れてから99.9%の時間を、人間は狩猟と採種をして暮らしてきた。私たちの脳は、今でも当時の生活様式に最適化されている。
スマホ脳 アンデシュ・ハンセン 著 新潮社(2020) p9
「脳腸相関」という考え方、ご存知ですか?
脳腸相関とは、生物にとって重要な器官である脳と腸がお互いに密接に影響を及ぼしあうことを示す言葉です。
ヤクルト中央研究所HPより 2021年6月引用 https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_3611.php
人間は一人で生きているのではありません。無数の菌と深く関わりながら、共に生きているのです。
腸管には体内で最大の免疫器官があります。そして、この腸内の免疫と腸内細菌には密接な関係がある事が分かっているのです。
「腸を温める」と体の不調が消える 松生恒夫 著 青春新書(2013) p67
「手作り」「加工食品」
両方とも「良い点」「悪い点」があります。それを自分で理解した上で、行動を選びませんか?
ところが、その原因を作った企業は、被害が出ても因果関係が証明されないと言い張って補償をしない。もちろん、補償をしたところで、環境問題の場合は、元通りにならないことも多い。
人新世の「資本論」 斎藤幸平 著 集英社新書 p46
企業や国の主張が正しければ、「公害」「薬害」はないはずですよ。
できることを、できる範囲でしてみよう!
では、自分の体を守るために、何ができるでしょう。
たとえば、自分でご飯を作ってみませんか?

プラスチック製品と電気はとても仲良し。脱プラするためには、家電製品を使わないのが近道でした。これから石油に頼れなくなります。薪ストーブを使うのなら、そこで料理をすれば一石二鳥!ここではガスを使って加熱調理する方法をご紹介します。
調味料も、自分でカンタンに手作りできますよ!
大企業に頼らなくても大丈夫なんです。一度試してみませんか?
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