世間が「コロナ禍」「ウクライナ侵攻」に気を取られていた間に、「化学調味料・合成保存料不使用表示はダメ」という「ガイドライン」が作られたって、ご存知ですか?
これは、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」と呼ばれていて、法律的には拘束力がありません。
けれども、大きな問題があるんですよ。
その他に、2023年4月から「遺伝子組み換え」という言葉が、実質使えなくなります。
そして、最近「国内製造」という表示、よく見ませんか?それ、産地表示じゃないんです!
食品表示には、「消費者庁」「厚生労働省」つまり日本政府の思惑が絡んでいます。実は奥が深く、難しい問題……ココで詳しくご紹介しますね。
食品添加物の不使用表示に関するガイドライン
食品添加物に関して、消費者庁が決めたガイドラインがコチラ。
カンタンに言うと、食べ物の袋に「化学調味料不使用」「合成保存料無添加」という表示は使えない、という決まりです。
「紛らわしい表示で消費者が迷惑しているから、ガイドラインを作成しました」という事だそうです。「じゃぁ、具体的にどんな話があったのですか?」と思いますよね。それが、どこを探しても、そんな具体例が見当たりません。
……実は今まで、消費者庁や厚生労働省は、「表示を分かりにくく」してきたんですよ。ちょっと長くなりますが、詳しく説明します。
既成の決まり「加工助剤」「キャリーオーバー」
消費者から見ると、
- 化学調味料
- 合成保存料
という表示、とても分かりやすいですよね。
逆に、紛らわしいのが
- 加工助剤
- キャリーオーバー
これは「添加物を使っているけど、表示不要」というしくみです。
これは、厚生労働省の「食品衛生法施行規則」によって定められているのですが……
一部を抜粋しますね。
これによって、食品添加物が「使う企業に都合が良いように」隠されてしまったのです。その「隠されてしまった添加物」の代表例をご紹介します。
加工助剤:毒が使われている「食パン」
加工助剤で有名なのが「山崎製パン」の「臭素酸カリウム」。
どの製品に含まれているか、山崎製パンのサイトで確認できます。「残っていないから大丈夫」だそうですが、万が一の時、苦しむのは「消費者」ですよ。
消費者は「臭素酸カリウムの毒性」を理解してから、「食べる」「食べない」を判断しませんか?
キャリーオーバー:加工品を使って加工品を作ると、表示不要
キャリーオーバーとは
原材料の加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。
厚生労働省 食品添加物の表示について 資料3 2022/10/9引用
つまり、原材料に加工品がある場合「その加工品に使われている添加物は、表示しなくていい」という決まりです。
「添加物」が分からない実例
厚生労働省の例にもあるので、「せんべい」を例に説明します。(このせんべいと、厚生労働省の説明は、一切関係ありません)
このせんべいの「原材料」を拡大すると……
この表示の
- しょうゆ
- みりん
- 粉末しょう油
- 調味料
- 乳化剤
ココに注目してください。
キャリーオーバー:しょうゆ みりん
青の太線が「キャリーオーバー」の可能性がある原材料。
たとえば、しょうゆの場合。「しょうゆ」という商品を使って「せんべい」という加工品を作っているので、「しょうゆに使われている添加物は、表示不要」なのです。
一括名:調味料 乳化剤
緑の太線が「一括名」……似たような性質の添加物を何種類使っても、一括で表示していいという決まりです。詳しくはコチラ
厚生労働省 食品添加物の表示について 資料3 2023/4/28引用
酸味料だと、クエン酸、乳酸、アジピン酸、リン酸、コハク酸など……「酸味料」として使ってよい化学物質を何種類使っても、表示は「酸味料」だけでOKなのです。
原材料不明:たんぱく加水分解物 カラメル色素
これ以外にも「たんぱく加水分解物」。どのタンパク質を、どんな酸で分解して、どんな中和方法で加工したのか、書く必要がありません。
「カラメル色素」はⅠからⅣまでありますが、番号の表示義務はありません。ただ、モノによっては、色々問題を指摘されています。
原材料名・任意表示から「化学」「合成」が消える
つまり、日本政府は少しずつ食品表示を変更して、最終的に「化学調味料」「合成保存料」という「消費者に分かりやすい表示」を消したかったみたいですね。
「国内製造」は原産地表示ではない
最近、こういう表示を見ませんか?
加工品に使われる「国内製造」。これは、「国産小麦」という表示ではありません。「日本国内で小麦粉にされた」という意味です。
この表示の根拠はコチラ
ここに、こんな説明があります。
小麦粉は、小麦を粉にしたもの。「加工品扱い」なので、こういう表示になるんですよ……。残念ながら、この表示からは「産地は不明」。製造業者に確認しなければ、知ることができません。
こうやって、私たちが何を食べているのか、だんだん分からなくなっていくんです。
分別生産流通管理って、何?
また、こんな表示も見ませんか?
これは、「遺伝子組み換え不使用」に変わる表示です。
なぜ、こんな訳が分からない表示になったかというと、2023年4月から「遺伝子組み換え不使用」と表示すると、「遺伝子組み換えは、全く使っていません」という意味になるからです。
これ、余計ややこしいと思いませんか?
科学技術に、法律が追い付かない
科学技術の進歩って、本当にすごいんです。ただ、その技術に法律が全く追い付いていません。
ゲノム編集は?
最近、「ゲノム編集」というのを目にしませんか?
日本では、ゲノム編集は遺伝子組換えと違うので、表示義務がありません。
けどね、「避けたい」と考える消費者もいます。じゃ、どうしたら避けられますか?って、避ける方法がないのです。
現在流通している「ゲノム編集食品」には、表示があります。たとえば「22世紀ふぐ」
【ふるさと納税】22世紀ふぐ フルコースセット 【魚貝類・フグ・ふぐ・鍋セット・フルコース・とらフグ】
「22世紀ふぐ」は、ゲノム編集技術を使っています。
けどこの表示、任意なんです。
さらに、このフグの産地は、
- ゲノム編集したところ
- もとになったふぐを捕ったところ
- 22世紀ふぐを養殖したところ
- 切り身にしたところ
どこでしょうね。
培養肉の産地は?
最近、「培養肉」っていうのも、聞きませんか?
この肉、原産地はどこでしょうね。元の細胞を取った場所?それとも、細胞を増やした場所?
そして、「培養液の成分」。何を使っているか、気になりませんか?全て表示されるのでしょうか?一括表示にされるのでしょうか?
そんな決まりも、今は全くありません。けれども、科学技術は進歩していきます。
こんな政府に任せて、大丈夫?
以前、こんな農林水産大臣がいました。
この事件を反省に、アニマルウェルフェアを考え直そうと、農林水産省が「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」というのを開いたんですけどね。
当初「公開」だったはずが「非公開」に。その理由がコチラ。
「委員の率直な意見交換を担保する必要があるとともに、現場の課題など率直な意見を伺うためには、その発言者等が特定されることによる波及効果の発生の懸念にも配慮する必要がある」
日本消費者連盟 【回答】「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」に関する公開質問状への農水省の回答(2022年5月25日) より 2022/6/1引用
……つまり、「どの企業がどんな発言をしたか、消費者にばれたら製品が売れない」から、非公開になったのです。
日進月歩の科学技術、国会議員に理解できると思いますか?そして、その国会議員。企業献金をもらって、企業に文句が言えると思いますか?
ずさん!消費者庁の説明
こういう経緯があって、今回の「ガイドライン」。どういうことなのか「オンライン集会」を視聴したのですけどね。
この時のやり取りが……
本当に無添加だったら、無添加って書いてもいいんじゃないんですか?
ケース・バイ・ケースなので、何とも言えません
ずーっと、こんな感じ。何が悪いのか、一切説明がありません。具体的な例がなければ、業者も対応できませんよね。「無添加って書いたら、消費者庁に目を付けられるかも……」忖度する業者がいても、不思議ではありません。
そんな危機感を持った「食品表示問題ネットワーク」が、「食品表示を考える集い」を開きました。
ココでは、国会議員が消費者庁、農林水産省の天下りの実態などを暴露しています。消費者に有利で、大企業に悪いイメージを与えるような決まりを作るとしますよ。そしたらその人、天下りできないかも⁉だから、業者に有利な「ガイドライン」を作るのでしょうね……。
役人は言います「ただの形式ですから」。けれども、この決まりが後々、大きな問題になったりするんです。
「ただの形式」の陰に、こんなワナが……
たとえば、「日本学術会議会員の任命拒否問題」。
この問題の元をたどると、1984年の「学術会議法の改正」に行き当たります。この時、「総理による任命」というのが足されたのです。
その結果が、今回の任命拒否問題につながっているという訳。当時のやり取りを一部抜粋しますね。
当時の中曽根康弘首相は、参議院文教委員会で「政府が行うのは形式的任命にすぎません。したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦枠を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えております」と答弁し、政府による政治的介入を否定した。
権力にゆがむ専門知 新藤宗幸著 朝日選書 P14 太字はサイト管理者による
40年がかりの仕掛けです。今回のガイドラインだって、40年後どうなっているか分かりませんよ。
「いえいえ、善良な業者さんには、全く影響がない決まりで……」って言われても、訳わからん決まりは、認めちゃいけないのです。
消費者に出来る事、たくさんあります
こういう事実を知ると、市販の食品が怖くなります。
「食品添加物や、残留農薬を避けたいのだけれども……」と思ったら、大企業にできるだけ頼らず、生活すること。「農家と直接取引」しちゃえばいいんです!
そして、加工品は「できるだけ手作り」。たとえば、「納豆は手軽に増やせる」ってご存知ですか?
この本には、「手軽にご飯を作る技」が多数掲載されていますよ。
……そんなことをしているうちに、食べる加工品が減り、原産地を確認する機会も減るはず。そして、気が付いたら「お肌の調子がよくなったわ」「つるっとお通じがくるわ~」なんてことに気が付くかも。
農薬って、腸内細菌に影響するんです。
そして、こういう生活を支持してくれそうな政治家に投票するのが「私たちに出来る事」ですよ!
コメント